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PROGRAM

魅力ある3つの学位プログラム

臨床検査科学・高度実践研究/臨床検査科学・先端研究コース
微生物・遺伝子学講座

 日々進歩する科学技術は,医療分野に多大な恩恵をもたらし続けてきました。A. フレミングの世界初の抗生剤“ペニシリン”の発見や,J.D. ワトソンとF.H. クリックによるDNAの二重らせん構造の発見など,列挙し始めると枚挙に暇がありません。近年であれば,mRNAワクチンの実現など,以前では考えられなかった技術が医療分野に速やかに反映されています。裏を返せば,医療分野は流動的な世界であり,最新の技術や情報を常に把握し,理解し,応用できる能力が求められる世界になってきました。
 そのため本コースでは,単なるサイエンティストではなく,将来的に医療の向上と発展に貢献することができる,パイオニアとなり得るサイエンティストを育成します。
 本コース修了後には,臨床化学,血液学,生理学,免疫学,微生物学など,各分野の臨床もしくは研究の世界を先導していくことができると期待しています。

ゲノム医療サイエンティスト育成/ゲノム医療・医科学コース
微生物・遺伝子学講座

 科学技術の発展に伴い,以前は取り扱うことの難しかったDNAやRNAなどを対象とした解析が,近年行えるようになりました。これにより,医療分野ではがんゲノムに関する分野が急速に発展していますが,これには高度な医療知識や研究技術が必要となります。
 本コースでは,がんゲノム医療中核拠点病院である岡山大学病院と連携して,急速に進歩しているゲノム医療を実践できる人材を育成します。研究活動を通して,さまざまな遺伝子解析スキルを修得し,岡山大学病院や関連施設での実践的な臨床研修も行います。さらに,遺伝子分析科学認定士やバイオインフォマティクス技術者,上級バイオ技術者,細胞検査士などの認定資格の取得も目指します。

超音波検査士育成コース
微生物・遺伝子学講座

 人工知能 (AI) による検査の自動化が進む一方で,超音波検査においては,これからも熟練した技術が必要とされます。しかし当然ながら,超音波検査に関する技術は一朝一夕で習得できるものではありません。また,近年の臨床検査技師には,正確な検査が行えることだけでなく,科学的な思考能力も求められるようになってきました。
 そこで,岡山大学附属病院や地域病院と連携し,博士前期課程・後期課程一貫性の本コースを設立しました。本コースに所属する学生は,在籍する5年間,連携病院で超音波検査の研修を行い,高度な臨床技能を習得し,在籍中に超音波検査士や認定心電技師などの認定資格の取得を目指します。また,近年は臨床研究にも着手しており,病院研修と並行して行うことで,臨床技能と科学的な思考能力を併せ持った次世代の担い手となる検査技師の育成を目指します。

カリキュラムマップ・コースマップはこちら link

PROGRAM

検査技術科学分野の先輩たちの実績

OUフェローシップ採用者輩出実績あり!

 令和3年2月に岡山大学は,文部科学省補助事業「科学技術イノベーション創出に向けた大学フェローシップ総説事業」に採択されました。これを受けて,岡山大学の重点研究分野で研究を推進する若手研究者の養成,ひいては我が国の科学技術・イノベーション創出を担う研究者の創成を目的として,「岡山大学科学技術イノベーション創出フェローシップ (OUフェローシップ)」が創設されました。
 このOUフェローシップは,博士後期課程3年間の生活費 (月額15万円) と研究費 (年60万以内/年40万以内) が大学から支給され,金銭的な不安が軽減され,自身の研究に集中することができます。採用されるには研究計画書を提出する必要があり,さらには学内での厳正な審査が行われますが,本分野からは2名 (令和3年度:1名,令和4年度1名) がこれまで採用されています。また,採用された2名はその後,本分野の助教として着任し,OUフェローシップを経たモデルケースとして活躍しています。
 このように岡山大学では,博士後期課程学生の研究環境を整える取り組みが盛んに行われており,さらに本分野では,高く評価される研究テーマおよび研究計画を立案する能力を培う環境も整っています。

OUフェローシップ事業についてはこちら link
日本学術振興会・特別研究員の輩出実績あり!

 1985年に始まった日本学術振興会の特別研究員制度は,我が国の優れた若手研究者に対して,自由な発想の下に主体的に研究課題などを選びながら研究に専念する機会を与え,研究者の養成・確保を図る制度です。特別研究員には,博士課程在学者が対象となるDCと,修了者が対象となるPDとがあります。長年継続されている制度で,研究者としては非常に高いステータスとなる制度です。
 特別研究員も,上記OUフェローシップと同様に,我が国から研究奨励金 (生活費月額20万円) と研究費 (年150万円以内) が支給され,自身の研究に専念することができます。こちらも研究計画書を作成する必要があり,国内の研究者による厳正な審査が行われますが,本分野ではDC採択者を1名 (令和3年度:1名) 輩出した実績があります。OUフェローシップだけに留まらず,国中でも高く評価される研究テーマおよび研究計画を立案する能力を培う環境が,本分野には整っています。

特別研究員についてはこちら link

MESSAGE

先輩からのメッセージ

臨床検査科学・高度実践研究コース/臨床検査科学・先端研究コース

本間 宏基さん (博士前期課程2年・研究分野:生理学)

在学生01

【コースの特色と魅力】
動物実験から遺伝子解析といった多分野にわたる幅広い研究知識,および実験手技を習得できることが本コースの最大の特色です。研究において多くの選択肢を持つことで,新たな気づきを生み出せることは非常に魅力を感じます。臨床検査技師だけではなく,研究職や開発職など,就職の幅を広げることもできます。また,本コースにはさまざまな目標を持った学生が所属するため,各個人の目標に向けた,さまざまな活動に取り組みやすい環境が整えられている点も非常に魅力的だと思います。

【何を学んでいるか / 何を学べるか】
アルコールに起因しない脂肪肝であるNASHとその危険因子について研究をしています。生理学・生化学 (血液検査)・病理学等の観点から解析をするとともに,常に自分自身で研究の方向性を確認しながら試行錯誤しています。国内だけでなく海外でも研究結果を発表する機会があり,非常に刺激になります。

【これからの夢や目標】
大学院で培った主体性やプレゼン能力を活かし,医療関係の企業で働きたいと思っています。高度化している医療の中で,病院に医療を提供する側の企業に携わりたいと考えています。自身の専門性を最大限に発揮することで,患者さんの健康と未来に貢献することが,将来の目標です。

臨床検査科学・高度実践研究コース/臨床検査科学・先端研究コース

中野 愛梨さん (博士前期課程2年・研究分野:分子生理学)

在学生01

【コースの特色と魅力】
基礎研究に取り組みながらも,臨床現場で働く先生方や学生の声を聞ける所が特色だと思います。学部で学んだ検査の知識が,研究と結びつくことも多々あります。本コースは自由な時間が多く,時間の使い方を自分で決められる点も魅力だと思います。研究に没頭したり,病院でのアルバイトをしたりと,各人の持つ目標に向けて,さまざまな活動に取り組みやすい環境が整っています。

【何を学んでいるか / 何を学べるか】
分子生物学の観点から,変形性関節症に対する新規治療法の研究に取り組んでいます。研究では,PCRや免疫染色,ウエスタンブロッティングなどの生物学的実験手法を用いて,病態の解析や治療効果の評価を行います。これだけに留まらず,新しい実験手法にも日々取り組んでいます。失敗しては改善策を見つけ,試行錯誤を繰り返してようやく成功した時には,非常にやりがいを感じます。

【これからの夢や目標】
企業の技術開発を通じて人々の健康を守るものづくりに携わりたいです。本コースで身に付けた生物学的実験手法や,課題解決力を活かしつつ,新たに商業生産の知識を学び,世の中に新しい製品をお届けできる人材になりたいと考えています。

臨床検査科学・高度実践研究コース/臨床検査科学・先端研究コース

小嶋 日菜子さん (博士前期課程2年・研究分野:微生物学)

在学生01

【コースの特色と魅力】
微生物の分野は,人々の感染症に対する関心やニーズが高まっている中で,とてもやりがいのある分野であると思っています。細菌の分離・培養など,細菌を扱うのに必要な基本的な技術を身に付けられるだけではなく,薬剤感受性試験やPCR,細胞を扱う実験などを通して,幅広い技術・知識を身に付けることができます。

【何を学んでいるか / 何を学べるか】
私は微生物分野の中でも,胃癌の原因となるピロリ菌に関連する研究を行っています。また,臨床と連携して胃癌発症のリスク因子となりうる他の細菌の探索も行い,これらの細菌が細胞やマウスに与える影響を検討しています。自分の研究成果を学会で発表する機会もあるので,とてもいい経験になると思います。

【これからの夢や目標】
将来は,細菌を扱う研究室で身に付けた技術・知識を生かして,微生物にまつわる臨床検査や研究開発に携わっていきたいと考えています。また,微生物検査に関する資格取得を一つの目標として,自身のスキルアップが人々の役に立てるように日々勉強を続けていきたいと思っています。

ゲノム医療サイエンティスト育成コース/ゲノム医療・医科学コース

前濱 かんなさん (博士前期課程1年・研究分野:病理学)

在学生01

【コースの特色と魅力】
本コースでは,がんゲノム医療で必要とされる核酸やタンパク質等の取り扱いに関する知識・解析技術を身に付けることができます。また,それらを活かした活発な研究活動も可能であり,勉学や研究ともに充実した日々が送れます。臨床検査技師の資格に加え,遺伝子関連の資格取得にもチャレンジでき,自分自身に多くの付加価値を付けられることも魅力の1つです。

【何を学んでいるか / 何を学べるか】
私は主に「遺伝子解析」について学んでいます。研究室内だけではなく,実際に臨床の現場における遺伝子解析についても学び,経験することができます。私は臨床検査技師として毎週のリンパ腫カンファレンスに参加させていただき、PCRや遺伝子変異解析を行っています。実践的な臨床的知識・技術も得られるため,大学院生のうちから遺伝子解析のやりがいや楽しさを感じることもできます。

【これからの夢や目標】
本コース修了時には,がんゲノム医療に関連する専門的な知識・技術を備えた臨床検査技師をはじめ,研究者や大学教員等の幅広い選択肢が得られます。そのため,私も習得した遺伝子解析や病理学に関する知識・技術を最大限に活かせる選択肢を見つけ,その分野におけるプロフェッショナルとなれるよう,これからの研究活動や資格取得に力を注ぎたいと考えています。

超音波検査士育成コース

中山 日菜子さん (博士前期課程1年・研究分野:生理学)

在学生01

【コースの特色と魅力】
研究活動と並行して連携病院での研修や学内実習を行うことができる点が,本コースの最大の特色です。臨床現場で必要となる技術や知識を早期から習得できるため,大学院に在学しながらも臨床検査技師としてのスキルアップを図ることができる点が魅力だと感じています。また,近年は臨床研究にも着手しており,本コースで得た技術や知識を研究にも応用することが可能である点も魅力的だと思います。

【何を学んでいるか / 何を学べるか】
私は主に,循環器の分野について勉強しています。現在は連携病院とクリニックにて,週に2回実習を行わせていただいています。実習では,患者さんの心臓超音波検査を実際に行い,先輩技師や循環器内科の先生にご指導いただきながら技術の向上や疾患等に関する知識の習得を目指しています。また,心電図検査など他の生理機能検査にも携わらせていただいており,幅広く経験を積むことが可能です。

【これからの夢や目標】
大学院在学中に超音波検査士の認定資格を取得し,将来は大学教員として社会に貢献することを目標としています。研究活動や実習を通して,本コースで高度な研究技能と臨床技能を習得し,両者を併せ持った指導者を目指していきたいです。

MESSAGE

活躍するOB/OGからのメッセージ

大学院では臨床でも役立つ知識と能力を培えます

熊﨑 章太さん

2013年 愛知県立一宮市南高等学校普通科 卒業
2017年 岡山大学医学部保健学科 卒業
2019年 岡山大学大学院保健学研究科 修了
2019年 名古屋大学医学部付属病院 医療技術部 臨床検査部門
在学生01

【現在は,どのような職種で働かれていますか?】
私は,保健学研究科博士前期課程を卒業した後,病院で臨床検査技師として働いています。働き始めて3年ほどですが,この先,臨床検査技師の働き方や求められる能力は大きく変わっていくと感じています。

【具体的にどのように変わると思いますか?そこに大学院での学びは活きると思いますか?】
検査の機械化・自動化,タスクシフトでの業務拡大,医療法の改正といった変化を受けて,中央検査はもちろんのこと,POCT(point of care testing)の管理やチーム医療への参画など,検査室にいる時間が減り,外来や病棟,オペ室といった検査室の外に赴く時間が増えています。そういった働き方が変化している中で大切なことは,自分自身で考える力,考えるにあたっての知識を率先して習得する能力だと思います。もちろん,臨床で働きながらでもこれらの力を身に着けることはできますが,大学院ほど適した環境はないと思います。論文を読み,知識を得て仮説を立て実験し,結果をまとめて考察する。発表した内容に対して意見交換をする・・・。一連の流れを学ぶ時間はとても貴重です。臨床の現場に出てから,大学院時代に培った力を発揮する場面も多く,進学して良かったと感じています。

【これからの臨床検査技師に求められるものは何だと思いますか?】
-近年の臨床検査技師はMedical TechnologistsではなくBiomedical Laboratory Scientistsと呼称されることもあり,技術者から科学者・専門家へと専門性を高めています。これからの時代は言われたことをただ行う技師ではなく,意見を述べ提案し,協議が出来る技師が求められるのではないかと思います。そのためには,大学院での学びは非常に重要で,意義あるものだと身を持って感じています。
【大学院進学を悩んでいる学生に一言】
現場を目指す人の中には,学部卒の人達との差が気になるという人もいるかもしれません。ただ,私自身は働いてから2年の差が大きいと感じたことはありません。むしろ,大学院での学びが非常に大きく,進学して良かったと思うことが多いです。人生の中での2年なんてあっという間ですよ!

大学院での経験は人生の糧になります

西村 拓人さん

2013年 兵庫県立姫路飾西高等学校 卒業
2016年 川崎医療短期大学臨床検査科 卒業
2018年 岡山大学医学部保健学科 卒業
2020年 岡山大学大学院保健学研究科 修了
2020年 第一三共株式会社 勤務
在学生01

【大学院に進学した理由は何ですか?また,どのような大学院生活でしたか?】
私が大学院へ進学した理由は『研究に興味があったから』です。自分に研究が向いているかどうかは勘定に入れませんでした。その結果,学もなく手先も不器用だった私は,右も左も分からず,挙句,高価な実験試薬を何度も無駄にするなど研究室に多大な迷惑をかけ続けました。しかし,先生や先輩方はそんな私を決して見捨てることなく,優しく穏やかに向き合い続けてくださり,無事に学会発表や論文執筆もやり遂げることが出来ました。

【大学院での経験は,社会に出てどのように活かされていますか?】
現在は営業職として働いていますが,大学院で培った能力や経験は決して無駄にはなりません。例えば,研究活動を通して課題・目的を明確にし,物事を順序立てて思考する能力が自然に身につきますが,このような論理的思考力は社会人として必須でありながら一朝一夕で身に着けることは出来ません。

【大学院進学を悩んでいる学生に一言】
大学院進学に,確固たる目標や崇高な理念は必要ないと思います。研究に興味がある。就職活動に役立ちそう。なんとなくカッコよさそう。どんな理由であれ本気で取り組めばきっと人生の糧になると思いますし,それに応えてくれる環境が岡山大学大学院にはあると思います。この文章を読んでくださった皆様が,岡山大学大学院への進学に少しでも前向きになっていただけていれば大変嬉しく思います。

自分自身と向き合い,可能性を広げてみませんか?

立木 美穂さん

2014年 長崎県立佐世保北高等学校普通科 卒業
2017年 川崎医療短期大学臨床検査科 卒業
2019年 岡山大学医学部保健学科 卒業
2021年 岡山大学大学院保健学研究科 修了
2021年 シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス株式会社 勤務
在学生01

【現在は,どのような職種で働かれていますか?】
私は現在,医療機器メーカーで,生化学・免疫検査装置に関する業務に取り組んでいます。病院や検査センター等で働かれている臨床検査技師の皆様と関わりながら,新たな気づきや学びを得ることができる毎日はとても充実しています。このように自らが望む進路選択を実現できたのは,岡山大学での大学院生活があったからだと考えています。

【大学院に進学した理由は何ですか?】
私は当初,病院で働くことを目指して日々の勉強に取り組んでいました。しかし,学部生時代に研究室へ所属した事がきっかけで改めて自分の進路について考え,向き合うようになりました。それは私が所属した研究室のメンバーの影響によるものです。彼らは多種多様なバックグラウンドを持っており,企業への就職を目指す先輩,大学の教員や研究者になることを考えている仲間,それぞれが自分と向き合い,日々の研究に取り組んでいました。そこで私も将来の選択肢を増やし,可能性を広げるために大学院への進学を決意し,研究に取り組みました。

【大学院での経験は,社会に出てどのように活かされていますか?】
-大学院生活で得られたものは,大きく分けて2つあると感じています。1つ目は,物事に主体的に取り組む姿勢です。自らの研究テーマに対して好奇心を持ち,文献や学会での情報収集を怠らず,積極的に研究に取り組むことの重要性を周囲から学び,自らも努力したことで主体性を身につけられました。2つ目は論理的思考力と多角的視点です。仮説を立て,検証し,その結果をもとに考察し,次の実験の計画を立てるというプロセスを常に繰り返すことによって,物事を論理的に解釈し,多角的な視点から捉えることができるようになりました。これらのスキルは,社会に出た現在でもさまざまな場面で活かされています。

【大学院進学を悩んでいる学生に一言】
これほど有意義な大学院生活を送ることができたのは,先生方や研究室のメンバーなど周囲の手厚いサポートがあったこと,また,最新設備や機器など研究環境が整っていたことのおかげです。皆さんもぜひ素晴らしい環境である,岡山大学大学院で自分自身の可能性を広げてみませんか?