大学院 保健学科研究科

GRADUATE
SCHOOL OF
RADIOLOGICAL
TECHNOLOGY

検査技術科学分野

OVERVIEW

分野の概要

 放射線技術科学分野では、高度専門職としての知識と技術を修得し、それを総合的に応用できる能力や各個人が独創的な発想のもとで真理を探究する能力を身に付け、保健医療の世界やチーム医療の中でリーダーシップを発揮できる医療技術者、研究者、教育者の育成を目指しています。
 前期課程の開講授業科目として、医用情報理工学領域では、医用物理学、生体情報計測学、医用画像解析学、画像診断技術学などがあり、放射線健康支援科学領域では、放射線生命科学、放射線治療技術学、核医学検査技術学、放射線健康科学などがあります。  後期課程の開講授業科目として、医用情報理工学領域では、医用物理工学、医用画像解析・診断技術学などがあり、放射線健康支援科学領域では、放射線診療技術学、放射線生命・健康科学などがあります。
 また、特別履修コースとして、平成20年度から、がん放射線科学コース(通称: 医学物理士コース)を開設しており、社会人入学を含めて多くの学生が履修しています。令和3年度からは、中性子医療コースを開設しています。

検査技術科学分野のカリキュラムマップ

博士前期課程 2年制


高度実践研究コース
共通・コア科目

学位プログラム概論

リーダーシップとSDGs

危機管理学

医療倫理学 *A

ヘルスプロモーション科学

研究方法論 *B

放射線技術科学
共通科目

グローバル・プレゼンテーション1

グローバル・プレゼンテーション2

国際研究インターンシップ(前期)

インターンシップ実践(前期)☆

医用情報理工学

医用物理学特論

医用物理学演習 ※

生体情報計測学特論

生体情報計測学演習 ※

医用画像解析学特論

医用画像解析学演習 ※

医用情報理工学特別研究

放射線健康支援科学

研究方法論応用 *1

悪性腫瘍の管理と治療 *2

医療倫理と法律的経済的問題 *3

がんチーム医療実習 *4

医療情報学 *5

医療対話学(コミュニケーションスキル) *6

がんのベーシックサイエンスと臨床薬理学 *7

がんの臨床検査・病理診断・放射線診断学 *8

臓器別がん治療各論 *9

がん緩和治療 *10

放射線治療品質管理学特論 *11

放射線治療品質管理学演習 *12

中性子医療学特論

中性子医療学演習

放射線生命科学特論

放射線生命科学演習 ※

放射線治療技術学特論

放射線治療技術学演習 ※

核医学検査技術学特論

核医学検査技術学演習

放射線健康科学特論

放射線健康科学演習 ※

放射線健康支援科学特別研究

履修方法

1.指導教員の指導により、30単位以上を修得すること。

2.共通・コア科目は教養科目として位置づける。「学位プログラム概論」は導入科目であり、「リーダーシップとSDGs」とともに必修である。「ヘルスプロモーション科学」、「医療倫理学」、「危機管理学」、「研究方法論」のうちから3単位以上を選択必修すること。

3.指導教員の指定する領域の授業科目のうちから14単位以上を修得すること。指導教員が指定する領域の特別研究は必修である。

4.前3項のほか、本研究科の他の分野の授業科目及び医歯薬学総合研究科の開講科目である「分子イメージング科学実習Ⅰ」、「分子イメージング科学実習Ⅱ」、「分子イメージング科学演習」、「研究方法論応用(疫学講義、医療統計学、臨床研究・予防医学実践論)」を選択科目として修得することができる。

5.※印の7 つの演習科目は、この学位プログラムのプロジェクト・マネージメント演習と位置づけ、2単位以上を選択必修とする。これらの科目は、学位プログラムでの学びを社会実装等に繋ぐための集大成として統合型のキャップストーン科目である。

6.☆印の「インターンシップ実践(前期)」は、社会人として実務経験のない学生で、在学期間内に学外での実践経験ができない(あるいはその見込みの)学生は必修として履修すること。

7.*1~*12 の科目は、特別履修コース「医学物理コース(医学物理士コース)(以下「医学物理士コース」という。)」の学生以外は履修できない。

8.医学物理士コースの学生は、指導教員の指導により、上記の他に、更に下記の条件も満たすこと。

 1)*1~*6の各科目は必修である。ただし、*1のかわりに*Bを、*3のかわりに*Aを選択してもよい。

 2)*7~*10 の科目の中から、2単位を選択必修すること。

 3)*11、*12 は必修である。

9.「中性子医療学特論」及び「中性子医療学演習」は、中性子医療コースの学生以外は履修できない。これらの科目の単位は、修了要件単位に含めない。


【中性子医療コース】
履修方法

1.希望者は所定用紙により申請を行い、コース履修の許可を受けなければならない。

2.本コースを修了するには、「医学物理士コース」を履修、修了することを必要要件とし、さらに中性子医療学特論及び中性子医療学演習の単位を修得しなければならない。

中性子医療コース 履修申請書 pdf

博士前期課程 2年制

特別履修

医学物理士コース

 医学物理士コースでは、高度ながん放射線診療を支える専門知識や臨床スキルを身にけた医療人、臨床現場で研究・教育・指導の一端を担う優れたがん放射線医療専門人を養成しています。系統的なカリキュラムにより、がん薬物治療、放射線治療、緩和療法、チーム医療などを実習などにより学び、医学物理士や放射線治療専門技師などの専門資格の取得が可能です。本コースの修了生には「医学物理士コース修了証」を授与します。修了生はチーム医療を通して質の高いがん放射線医療を実践することで地域医療に貢献しています。履修については、上記の高度実践研究コースの内容をご参照ください。

詳しくはこちら pdf

博士前期課程 2年制

特別履修

中性子医療コース

 中性子医療コースでは、ホウ素中性子捕捉療法BNCTによる中性子医療に特化した最新の放射線治療の知識と技術を学びます。カリキュラムは、中性子医療学特論、中性子医療学演習から構成され、中性子医療について深く学ぶことができる内容となっています。本コースと医学物理士コースの修了生には「中性子医療コース修了証」を授与します。修了生は、将来のホウ素中性子捕捉療法の実地診療や研究に携わる高度専門職となることを目指しています。履修については、上記の高度実践研究コースの内容をご参照ください。

詳しくはこちら pdf

博士後期課程 3年制


先端研究コース
コア科目

学位プログラム概論

インタープロフェッショナルワーク論

Introduction course for health sciences

放射線技術科学共通科目

グローバル・プレゼンテーション1

グローバル・プレゼンテーション2

国際研究インターンシップ(後期)

インターンシップ実践(後期) ☆

医用情報理工学

医用物理工学特講

医用物理工学演習

医用画像解析・診断技術学特講

医用画像解析・診断技術学演習

医用情報理工学特別研究

放射線健康支援科学

放射線診療技術学特講

放射線診療技術学演習

放射線生命・健康科学特講

放射線生命・健康科学演習

放射線健康支援科学特別研究

履修方法

1.指導教員の指導により,12単位以上を修得すること。

2.コア科目、3単位以上を修得すること。

3.指導教員の開講する特講・演習各2単位及び特別研究4単位を修得すること。

4.指導教員の指導のもと,本研究科に開設される専門科目を1単位以上選択科目として修得すること。

5.前4項のほか,本学大学院医歯薬学総合研究科の開講科目である「研究方法論応用(疫学講義、医療統計学、臨床研究・予防医学実践論)」を選択科目として修得することができる。

6.コア科目の「学位プログラム概論」は導入科目として位置づけ必修とする。コア科目の「インタープロフェッショナルワーク論」は、課題解決型実習であるプラクティカムとしてキャップストーン科目に位置づけ必修とする。

7.☆印の「インターンシップ実践(後期)」は、社会人として実務経験のない学生で、在学期間内に学外での実践経験ができない(あるいはその見込みの)学生は必修として履修すること。

修了要件は、1)、2)、3)とする。

 1)修了要件単位を取得していること

 2)博士論文について、中間評価会で評価を受けていること

 3)最終審査・試験に合格すること

RESEARCH

主な研究課題

             
医用情報理工学領域

① 生体電気インピーダンスを用いた身体運動解析に関する研究


② 生体の電気物性に関する研究


③ 医療福祉機器の開発及び改良に関する研究

中村 隆夫 教授

① ディジタルマンモグラフィにおける医療被曝の測定・評価


② ディジタルマンモグラフィにおける画質評価


③ ディジタルマンモグラフィにおける精度管理

後藤 佐知子 准教授
放射線健康支援科学
領域

① 乳がん放射線治療に関する臨床放射線治療技術の研究


② 臨床画像診断装置(MRI,PETなど)を用いた放射線生物学研究および臨床放射線診断技術に関する研究

黒田 昌宏 教授

① 画像ガイド下治療(IVR)全般(特に経皮的凍結治療・ラジオ波焼灼術・マイクロ波焼灼術による癌治療、経皮的針穿刺など) の研究


② IVRにおける低被曝化の研究


③ 高精度温度測定下に昇温可能な光ファイバの臨床応用の研究


④ 4D-CTの臨床応用の研究


⑤ その他画像診断一般に関する研究

生口 俊浩 教授

① ラドン療法の新規適応症の探索と機構解明


② 酸化ストレスに着目した低線量放射線の健康影響評価


③ 抗酸化物質を用いた生活習慣病の予防効果の検証

片岡 隆浩 准教授

① 放射線治療装置の立ち上げを中心とした放射線治療品質管理技術に関する研究


② 位相幾何学特徴値を用いた堅固な放射線治療法に関する研究


③ 獣医療の放射線治療に関する研究

田辺 悦章 准教授

FUTURE

主な進学先・就職先

【博士前期課程】
岡山大学大学院保健学研究科博士後期課程
岡山大学病院
岡山赤十字病院
岡山旭東病院
倉敷中央病院
心臓病センター 榊原病院
津山中央病院
国立病院機構岡山医療センター
広島大学病院
島根大学医学部
鳥取大学病院
北海道大学病院
京都大学医学部歯学部附属病院
京都第一赤十字病院
大阪府立大学付属病院
日本生命済生会附属日生病院
神戸大学医学部附属病院
兵庫県立病院
兵庫県立淡路病院
兵庫医科大学病院
加古川西市民病院
小野市立市民病院
香川大学医学部附属病院
徳島赤十字病院
徳島県立中央病院
松山赤十字病院
九州大学病院
国立病院機構九州ブロック
静岡県静岡がんセンタ-
長崎大学医学部歯学部附属病院
長崎市民病院
(株)東芝
(株)キャノンメディカルシステムズ
(株)シーメンス・ジャパン
(株)AZE
(株)Zio-Soft
【博士後期課程】
岡山大学大学院保健学研究科放射線技術科学分野
岡山大学大学院自然科学研究科(助教)
岡山大学自然生命科学研究支援センター
岡山大学病院
川崎医療大学附属川崎病院
(財)大阪がん予防健診センター
岡山大学大学院自然科学研究科(助教)
岡山大学自然生命科学研究支援センター
岡山大学病院
川崎医療大学附属川崎病院
(財)大阪がん予防健診センター 岡山画像診断センタ-
淡路平成会平成病院
榊原病院
柳井病院
日本原子力開発機構

INTERVIEW

大学院生に聞く!

技師の知識を活かしながら医療貢献がしたいと思っています

博士前期課程2年

在学生01

―大学院に進んだきっかけ
 学部で学ぶ中、診療放射線技師が扱う医療技術は日進月歩していると感じ、専門性をもって先端的な技術についてさらに知識を深めたいと思うようになりました。
 元々研究活動にも興味があったことから、研究活動を通してこれが実現できると考え大学院への進学を決めました。

―大学院での目標
 私は大学院において、研究活動を行うこと、診療放射線技師としての臨床経験を多施設で積むことを目標としました。実際、学部時から引き続き核医学の分野で研究活動を行い、学会発表や投稿論文の作成等が経験できています。臨床経験については、近隣の医療機関にてアルバイトとして診療放射線技師業務に携わらせて頂いています。多様な医療機関の臨床現場を経験でき,実際に装置に触れ検査に関わることから学びや気付きを得ることもたいへん多いと感じています。

―将来の目標
 大学院にて研究活動を行う中で、装置における撮像や画像処理時の条件選択が多様であることを体感しました。また診療放射線技師としての臨床経験から、施設毎のニーズを満たした装置を使用することで業務が円滑になると感じています。
 これらより、診療放射線技師としての知識を活かしながら医療機器を通した医療貢献がしたいと思っています。

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MESSAGE

活躍するOB・OG

学んだ事が深まってやりがいを感じています。

博士前期課程修了
岡山赤十字病院 中央放射線部 勤務

OB01

―大学院に進んだきっかけ
 近年、医療機器の高度化に伴い、それに携わる診療放射線技師にもより専門性を求められています。大学の先生、臨床実習でお世話になった技師の先輩方のアドバイスもあり、私も専門性を持った技師になるために大学院に進学することを決めました。

―大学院でのライフスタイル
私は臨床の現場で診療放射線技師としての経験を積みながら、自身の研究分野のMRIの学習を進めていくということが目標でした。
 平日は岡山赤十字病院でMRI撮像の業務にスタッフとして配置させていただき、経験・技術向上に努める事ができました。そして日勤業務後や休日は施設での実験や研究室でデータの解析を行うという忙しいながらもとても充実した日々を送りました。
 また研究に関してはこの施設の博士の方にお世話になり、MRIにおける脳賦活領域とその脳神経描出法の研究を行いました。そして在学中に海外の学会で研究発表をできた事は私にとってかけがえのない経験になりました。

―現在のライフスタイル
 私は就職してからは主に放射線治療業務を担当になりました。大学院での研究分野とは異なりますが、専門性を深めていくという事を大学院で経験できたので、スムーズに放射線治療にのめり込む事ができたと思っています。また大学院で医学物理士コースを受講していたこともあり、医学物理士の認定試験に合格することができました。また放射線治療計画装置に取り込むMRI画像のシーケンスの影響の研究を行うなど、私の学んだ事が融合して深まっていくことにやりがいを感じながら日々を過ごしています。