看護学分野

齋藤 信也 教授 医療ラショニングおよびベッドサイド・ラショニング
に対する医師の基本的姿勢について
小野 美穂 講師 がん患者の体験知を医療に活かす
「専門力と患者力の融合型ピアサポートプログラム」
平見 有希 助教 看護学分野基礎看護学領域
中塚 幹也 教授 中塚研究室における研究内容の紹介
小野 智美 教授 幼児の皮膚バリア機能を入院中の心理・生理的アセスメント指標
に応用するための研究
大井 伸子 准教授 子育てから女性のQOL向上を目指した遠隔支援の検討
片岡 久美恵 講師 不育症患者の精神的支援
藤井 宏子 准教授 職業生活への適応に関する研究
大塚 元美 准教授 グローバル時代の在英邦人の妊娠・出産を支援するシステム構築に関する研究
山口 そのえ 助教 長期入院を経験する子どもの学習支援
安川 純代 助教 子育て支援、女性の健康とQOL
森本 美智子 教授 慢性呼吸器疾患患者の息切れマネジメント支援の構築
森 恵子 教授 食道がん患者のQOL向上に向けた研究
大浦 まり子 助教 亡くなる前10日以内にあったがん患者の語りより
末田 朋美 助教 乳がん患者のレジリエンスに関する研究
梶原 右揮 助教 CKD患者の病気認知と自己管理行動の関係性の検討
谷垣 靜子 教授 在宅看護におけるケアの質評価
芳我 ちより 准教授 生活習慣病予防のための新たな成長曲線開発
沖中 由美 准教授 「老いを生きる」高齢者の健康と生活を支えるケア
岡本 亜紀 講師 精神の障害からのリカバリー
生田 由加利 助教 要介護高齢者と家族介護者への支援
新井 友子 助教 気分障害がある人を対象とした支援の検討
細井 舞子 助教 梅毒患者のパートナーへの感染告知および受診の支援
兵藤 好美 教授 「医療安全のためのゲーミングシミュレーション」の開発
氏名
齋藤 信也
職位
教授
所属
看護学分野 基礎看護学領域
専門分野
生命倫理学、医療管理学、医療経済学

医療ラショニングおよびベッドサイド・ラショニング
に対する医師の基本的姿勢について

研究の概要

研究の背景と目的:

医師は、目の前の患者だけでなく、医療制度全体のことも考えなければならないが、後者の役割からの要請により、臨床で、治療等の制限を行う行為は、「ベッドサイド・ラショニング」と呼ばれ、医療倫理上行ってはならないこととされてきた。しかし、厳しい予算制約において医療資源配分を行う場合、ラショニング的行為は避けて通れない。そこで、我が国の医師のベッドサイド・ラショニングを含む医療資源配分に対する基本姿勢について調査を行った。

対象と方法:

ウェブを用いて医師約1,000人を対象とした。質問1は「安価な一方、検出能力の低い検査A」と「高価ではあるが、検出能力の高い検査B」が存在する場合、選択肢1:「対象者全員にAの検査を行い結果として1,000名の死亡を予防する。」選択肢2:「くじ引きによって対象者の半分に対して検査Bを行い、1,100名の死亡を予防する。」のどちらかを選択させた。質問2は、病気Aの患者1人あたりの治療費が200万円、病気Bは1,000万円という前提で、その地区の医療予算が1億円であるとき、病気Aの人とBの人に費用を振り分ける場合、どの配分法が望ましいか選ばせた。

結果:

回答者は1,089(男性891:女性198)人であった。質問1では、平等主義的な検査Aを選択したものが699人、功利主義的な検査Bが390人であった。質問2については、極端な功利主義の選択肢(病気Aの患者のみに費用を振り分ける)を選んだ者が424人と最も多かった。また、費用対効果の概念を医療制度に導入することに反対した医師は9%であった。日常診療に経済的視点を持ち込むことへの反対は、39%であった。医学的無益性の判断に、経済的視点を持ち込まないと答えた医師は、20%であった。包括払いシステムの中で、副作用はわずかに多いものの、低額な造影剤と、それより副作用は少ない一方、高額な造影剤の両方が、保険収載されている場合、前者の使用は、「良くない。行ったことがない。」とした医師は19%であったのに対し、「問題はない。行ったことがある。」とした医師は、32%であった。

結論:

医師は、マクロの医療資源配分(医療ラショニング)に、医療経済性に基づく功利主義的判断を導入する事に賛成するものが多く、また、日常診療に費用対効果の観点が入ることに抵抗を示すものはそれほど多くなかった。ベッドサイド・ラショニングについても、概してそれに寛容である医師が相当数存在していた。

氏名
小野 美穂
職位
講師
所属
看護学分野 基礎看護学領域
専門分野
ピアサポート,患者教育,看護教育

がん患者の体験知を医療に活かす
「専門力と患者力の融合型ピアサポートプログラム」

研究の概要

 本研究は、がんを経験し様々な体験知をもつ患者の「患者力」を医療に活かし、専門的サポートと体験的サポートを融合させることにより、患者のもつ多様なニーズに多面的に対応し支援していくことを目的とする。我が国におけるピアサポート活動の現状を踏まえた上で、モデルケースとして開発した乳がんピアサポートプログラムを基にピア支援をより広く医療の場に適用、発展させていくことを可能にする「専門力と患者力の融合型ピアサポートプログラム」の開発を目指すものである。
 ピアサポートプログラムのモデルケースとして、医療者とピアサポーター協働による「乳がんピアサポートプログラム」を開発、コーディネートナースの調整を介して、患者は自己のニーズに合ったピアサポートを個別に受けることができ、ピアならではの情緒的サポートや情報的サポートを受け、治療に臨む心構えや将来イメージを持てたり、意思決定し前進できるなど、患者にとっての多くのメリットが明らかとなった。

 このモデルケース成果をより広く社会に貢献させていくために、一般に適用可能な「専門力と患者力の融合型ピアサポートプログラム」の開発を目指す。そのために、我が国におけるピアサポート、ピアサポートプログラムの広がりや具体的内容等についての現状および課題を全国調査にて明らかにし、その結果を踏まえ、モデルケースのプログラムをモディファイする。プログラム活用・普及のために必須となる「ガイドライン(活用方法・手順含)」「がんピアサポーター育成研修プログラム」「患者力融合(仮)コーディネーター研修プログラム」「評価指標」を作成し、「専門力と患者力の融合型ピアサポートプログラム」としてパッケージ化を目指す。

氏名
平見 有希
職位
助教
所属
看護学分野基礎看護学領域
専門分野
看護技術,看護教育

かゆみを軽減する看護ケアについて

研究の概要

研究の背景と目的:

かゆみは,皮膚や粘膜を掻破したくなるような不快な感覚と定義されています。しかし,そのメカニズムについてはいまだ不明な点が多く,かゆみを抑える十分な治療や看護ケアが受けられていない現状があります。特に慢性の強いかゆみを有するアトピー性皮膚炎患者にとっては,かゆみをコントロールすることが治療の上でも,また生活の質(QOL)を維持・向上させる上でも重要な課題です。
人の生活を支える看護の視点から,かゆみに悩む人々の苦痛を少しでも軽減できるように研究に取り組んでいます。アトピー性皮膚炎のかゆみは,虫刺されなどのかゆみとは異なる部分もあり,皮膚の状態も患者と皮膚疾患のない者とでは違います。現在はアトピー性皮膚炎患者のかゆみに焦点を当て,安全で効果のある看護ケアは何であるのかを明らかにすることを中心に研究を行っています。

氏名
中塚 幹也
職位
教授
所属
看護学分野 成育看護学領域
専門分野
生殖医学・ジェンダー・生命倫理

中塚研究室における研究内容の紹介

さらに詳しく⇒ 

中塚研究室 http://www.okayama-u.ac.jp/user/mikiya/
Yahooオーサー 「生殖とジェンダーの今」 https://news.yahoo.co.jp/byline/mikiyanakatsuka/
氏名
小野 智美
職位
教授
所属
看護学分野成育看護学領域(小児看護学)
専門分野
小児看護学,小児保健

幼児の皮膚バリア機能を入院中の心理・生理的アセスメント指標
に応用するための研究

【研究の背景】

人の表皮の最も外側で外界と接している角層は、外界からの異物の侵入や攻撃から身体を守り、体内から水分を蒸散するのを防ぐというバリア機能を有しています。その皮膚のバリア機能の指標とされているのが経表皮水分蒸散量(TransepidermalWater Loss, 以下TEWLと示す)です。皮膚バリア機能の低下は乾燥肌やアトピー性皮膚炎などを引き起こすため、小児医療ではその治療やケアの効果を判定するための指標として探求されています。しかし、角質水分保持や透過性には様々な因子が複雑に関与し、まだまだ多くの不明な点の存在を多くの研究が指摘しています。子どもの看護における皮膚バリア機能の探求は、新生児や低出生体重児のケアに留まっており、幼児期以降の子どもの看護における評価指標としての適応に関心を寄せています。先行研究では、都市部と都市部以外の地区で生活する幼児のTEWLについての基礎調査1)を実施し、ケアにおける幼児の皮膚バリア機能概念関連図案(図1)を検討しました。これを基に、健康課題をもつ子どもの皮膚バリア機能とケアにおける応用について探求していきたいと考えています。

【研究目的】

 現在の研究は、短期入院中の子どものTEWLとその影響要因を質的に記述し、入院中の子どものケアにおける評価指標としての実現可能性を探ることを目指しています。研究の最終的な目的は、子どもの皮膚バリア機能を子どもの心理、生理的状態のアセスメント指標として子どものケアに応用し、小児看護の新たなケア技術とツールの開発につないでいくことです。

【研究方法】

質的・記述的研究(ケーススタディ)
研究対象者:短期入院(3日~2週間)をする1~6歳の幼児とその親(保護者)
分析方法:多職種での学際的分析

氏名
大井 伸子
職位
准教授
所属
看護分野 生育看護領域
専門分野
母性看護学,助産学,女性学

子育てから女性のQOL向上を目指した遠隔支援の検討

研究の概要

  1. 1.ハイリスク児をもつ母親は特に育児不安が強く,育児不安をもつ者が多いことが示されている。
    そこで,NICU(新生児集中治療管理室)を退院した児の母親や家族への育児支援を目的に,遠隔育児相談の有効性を検証する。
  2. 2.尿失禁は女性のQOLに関わる重要な問題であるが,遠隔地に居住する中高年女性は受診行動につながりにくい現状がある。そこで,遠隔地に居住する尿失禁症状を有する中高年女性を対象に,市町村保健師と連携して骨盤底筋体操の遠隔指導を行い,症状の改善についての検討を行う。

氏名
片岡 久美恵
職位
講師
所属
看護学分野 成育看護学領域
専門分野
助産学,不育症,不妊症

不育症患者の精神的支援

研究の概要

わが国における不育症の定義:

「妊娠はするけれど2回以上の流産・死産もしくは生後1週間以内に死亡する早期新生児死亡の既往がある場合」(厚生労働省科学研究班2011)

氏名
藤井 宏子
職位
准教授
所属
看護学分野 成育看護学領域(母性・助産)
専門分野
助産学 看護管理

職業生活への適応に関する研究

研究の概要

社会心理学の理論を用いて看護職者の職場適応について検討してきました。
毎年多くの方々が看護職者として就職していきます。彼らが職業生活に適応でき技能が習得されれば看護職者個人だけではなく,ケアの対象者にも多くの受益があると考えました。 これまで,看護職者の職業生活への適応を高めるために,下図の研究を行いました。

今後は,他の学問分野の研究者とのコラボレーションし,より社会に貢献できる研究課題に 挑戦していきたいと考えています。

氏名
大塚 元美
職位
助教
所属
看護学分野 成育看護学領域
専門分野
母性看護学,助産学,国際保健学

グローバル時代の在英邦人の妊娠・出産を支援するシステム構築に関する研究

研究の概要

氏名
山口 そのえ
職位
助教
所属
看護学分野 小児看護学領域
専門分野
小児看護,家族看護

長期入院を経験する子どもの学習支援

研究の概要

 国は小児慢性特定疾病その他の疾病にかかっていることにより長期にわたり療養を必要とする児童等の健全な育成に資する調査及び研究を推進することを児童福祉法(昭和22年法律第164号)の第21条の4に規定している。長期入院加療が必要な子どもの健全な育成のため学習・交流の場を提供することが必要であると考える。平成27年度の学校基本調査によると不登校を理由とするものを除く30日以上の長期欠席者数は小学生で32,000人,中学生で30,000人であった。そのうち長期入院をしている子どもは約6,500人である。入院中から希望を持って他者との交流をしながら,学習を進めることが重要であるが,それらが充足されている入院・療養環境は少ない背景があるが、長期入院中の子どもは、健康な小児と同様に,年齢に相応する「学ぶ権利」は医学的に可能な限り保障されるべきである。

 患児の入院療養中の学習環境については,長期にわたり病気を理由に欠席している子どもへの教育支援は1割程度と言われている。また昨年文部科学省の調査で長期入院児童生徒の実態調査を行った中で,長期入院児6,300人のうち2,500人が教育的支援を受けていないことが明らかになった。

 入院中に子どもが通える「院内学級」の設置率も全国で37%という状況にある。我々研究者は,平成26年度岡山県の慢性特定疾病研究事業に申請している小児がん患者及び小児がん経験者院内学級の体験を調査し,院内学級での学習や同じ闘病している仲間との関係性がその後の退院生活が順調に送れるために重要であることを明らかにした。この院内学級に通えない状態にある子どもたちは、学習や他者との交流が不足しているのではないかと考え、院内学級のない病院に長期入院している子どもたちの学習環境を調査し、長期入院児の学習や子ども同士の交流の実態を明らかにし、必要な支援を検討する。

氏名
安川 純代
職位
助教
所属
看護学分野〇成育看護学領域
専門分野
助産学、母性看護学

子育て支援、女性の健康とQOL

研究の概要

〇妊娠中からの多職種連携による子育て支援(母親のメンタルヘルス支援)に関する検討

 妊娠中から訪問や面接などにより助産師や保健師が「傾聴する」という一連のプロセスそのものがメンタルヘルス支援になる。妊娠中並びに出産後の両時期にアンケートを実施し、医療機関や行政との連携によって、表面的にはわからない母親の精神状態を顕在化でき継続フォローが可能となった。従って、妊娠中からの多職種連携による早期介入は母親の産後のメンタルヘルスに対して有効であることが示唆された。出産前後の約1年間という期間は、今後の長い育児生活へ踏み出すための貴重な時期である。共働き世帯の増加や近所との疎遠化など近年の育児環境を念頭に快適な育児生活を送れるよう更なる試みを重ねていきたい。

〇女性のライフサイクルに沿った身体的・精神的QOL向上に関する検討

 女性において閉経期にあたる約45歳から55歳までを更年期とし、更年期に生じる心身の不調が日常生活に支障をきたす場合を更年期障害とよぶ。更年期障害には、身体的症状(ほてり、発汗、動機、尿漏れなど)と精神的症状(いらいら、不安、不眠など)の2つに分けられる。健康関連QOLの指標(SF-36)を用いた調査では、ホルモン補充療法実施後身体的症状の改善により健康関連QOLが有意に良くなった。精神的症状において健康関連QOLは一部分のみ良くなることが確認された。精神的症状を訴える女性は、個々の事情が原因となり症状が現れていることが多いため個々が抱えている葛藤や悩みを傾聴しながらホルモン補充療法を併用することが必要であると示唆された。今後も女性のQOLに関し様々な視点で研究を広げていき、女性の生活の質向上に貢献していきたい。

〇出産歴と循環器疾患、生活習慣病との関連についての検討

 これまで、欧米諸国においても出産回数と循環器疾患との関連について報告がなされているが、その関連にいきがいの及ぼす影響について検討した報告はない。そこで、出産回数と循環器疾患死亡との関連にいきがいの有無が及ぼす影響について検討することを目的とした。対象はJACC studyにおける40~79歳の女性39,870人で、約19年間追跡したところ、3,453人が脳卒中、虚血性心疾患、その他の循環器疾患にて死亡した。対象女性のなかでいきがいの有る女性は43%であった。出産回数1回の女性をreferenceとし、Cox比例ハザードモデルを用いてハザード比を算出した。まず全体において出産回数と循環器疾患死亡の関連を検討した結果、出産回数0回(出産未経験)あるいは出産回数6回以上の女性と循環器疾患死亡との関連が認められた。次にいきがいの有無別に検討した場合、いきがいの無い女性では出産未経験または出産回数6回以上の女性と循環器疾患死亡リスクとの関連が認められたのに対して、いきがいが有る女性においてはその関連は認められなかった。出産未経験または多産では、脳卒中などの循環器疾患または総死亡リスクが高くなるが、いきがいをもっている場合はその関連が認められないことが明らかになった。(Sumiyo Yasukawa et al., Circulation Journal, 2018)

氏名
森本 美智子
職位
教授
所属
看護学分野臨床応用看護学領域
専門分野
成人看護学,慢性看護学,症状緩和ケア

慢性呼吸器疾患患者の息切れマネジメント支援の構築

研究の概要

  1. ●慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease: COPD)患者の身体的機能や精神的機能を維持するための支援について探索してきた。現在は、COPD患者・間質性肺炎患者など慢性呼吸器疾患患者の“息切れ”に対して、全国26施設での患者調査の結果をもとに、息切れのマネジメントを支援する看護者教育プログラムを構築し、その効果を共同研究者である専門看護師(Certified Nurse Specialist: CNS)らとともに検討している。
    また、自宅で生活あるいは療養する場合には欠かせない家族(配偶者)を対象に含めた検討もすすめている。
  2. ●神経難病である筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis: ALS)患者やその家族介護者に対する関わりについても検討している。

これまでに行ってきた研究の一部

さらに詳しく⇒ http://www.cc.okayama-u.ac.jp/~clinical-n-mm/

氏名
森 恵子
職位
教授
所属
看護学分野 臨床応用看護学領域
専門分野
クリティカルケア看護、周手術期看護、がん看護

食道がん患者のQOL向上に向けた研究

研究の概要

  1. ●研究テーマ:食道切除術後の回復過程において補助療法を受けた患者の術後生活再構築過程
  2. ●研究目的:食道切除術後の回復過程において補助療法を受けた患者の術後生活再構築過程を明らかにすること。
  3. ●研究対象:食道がんのために食道切除術を受け、①退院後6ヶ月以上が経過していること、②術後の回復過程において補助療法(放射線療法、化学療法のいずれか、あるいは両方)を受け、面接 時点で補助療法が終了している会話可能な患者、の2つの条件を同時に満たす患者。
  4. ●データ収集方法:術後回復過程において直面した出来事、それへの受け止めかたと対処方法など研究者が作成した面接ガイドを用いて個室に準じた部屋で自由回答法による半構造化面接を実施。
  5. ●データ分析方法:面接内容の逐語録をデータとして修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの手法(木下、2003)を用いて分析。
  6. ●結果:食道切除術後の回復過程において術後補助療法を受けた患者の術後生活再構築過程過程は、第1段階、≪生活圏の狭小化≫、第2段階≪命と引き替えに生活圏の狭小化を受け入れ、自分流の暮らし方を獲得する≫をコアカテゴリーとする過程であることが明らかとなった。
  7. ●術後生活再構築過程を促進する看護援助:生活圏の狭小化を最小限に食い止めるための看護援助、長期的・継続的な看護介入の必要性が示唆された。

結果図:食道切除術後の回復過程において補助療法を受けた患者の術後生活再構築過程

氏名
大浦 まり子
職位
助教
所属
看護学分野臨床応用看護学領域
専門分野
がん看護学緩和ケア看護倫理看護教育

亡くなる前10日以内にあったがん患者の語りより

研究の概要

 緩和ケア中心の療養生活を送るがん患者の主体性を明らかにする研究の過程で得られた、亡くなる前10日以内の時期にあった患者の語りに焦点をあて、患者が日々をどのように生き抜いていたかを明らかにする研究に取り組んだ。
 本研究は、最期まで自分らしく生きられることを支える看護の探求に向け、人生の最終段階を生きるがん患者の理解の一
助とするものである。

 対象者は、一段と厳しさを増す症状との共存において、受け入れられるところは受け入れ、それ以上は医療者に対応を求めることで対処するものの、軽減しきらない症状に自分らしさを脅かされ翻弄されるという、せめぎ合いの中にあった。
 対象者の日々の安寧は、食べられること、眠れること、穏やかでいられることに代表され、悪化する身を委ね、こまごまとした要望を聞いてもらえる医療者への信頼によってもたらされる、最期の療養場所としての安心感・満足感によって成り立っていた。対象者は、医療者の支援への感謝や家族への思いを生きる原動力とし、また自ら生きる目標をつくり、日々の生活への自分なりの努力を続けながら、1日1日を意味あるものにしていた。

氏名
末田 朋美
職位
助教
所属
看護学分野臨床応用看護学領域
専門分野
周術期看護、がん看護

乳がん患者のレジリエンスに関する研究

研究の概要

2014年全国推計値データに基づいたがんに罹患する確立によると、日本人女性の11人に1人が乳がんに罹患するといわれている。しかし、乳がんに罹患したとしても適切な治療により長期生存が可能ながんでもある。乳がん罹患と乳がん治療という衝撃的な体験を乗り越え、日常生活を取り戻している乳がん患者は多く存在する。人が逆境にもかかわらず精神的健康や社会的適応行動を維持,回復することを説明する概念にresilience(以下、レジリエンスとする)レジリエンスがある。多くの乳がん患者が乳がん罹患およびその治療という苦痛を伴う体験から心理社会的適応に適応していく過程にレジリエンスが発現していると考えられる。本研究では、乳がんに罹患し、治療を乗り越え社会に復帰する乳がん患者が、治療を経験する中で直面する困難および日常生活への影響に対処することで心理社会的に適応していく過程を縦断的に調査すること乳がん患者におけるレジリエンスの構造を明らかにし,乳がん患者のレジリエンスを支える看護への示唆を得ることを目的としている。

■ レジリエンスとは

「レジリエンス」という言葉は、跳ね返るものを意味するのに用いられ、心理学では、虐待や戦争、病気などの深刻な逆境もしくは自然災害から「跳ね返る」ことを意味する。レジリエンスとは、ストレッサーにうまく適応し、挫折から立ち直り、逆境でも心のやすらぎを維持することのできる能力を意味する。レジリエンス自体は、社会的な能力やポジティブなメンタルヘルスとは異なる。また、同様の体験に対する反応の個々の違いに焦点を当てている。

■ がん患者のレジリエンス

本研究において、がん患者のレジリエンスを以下のとおり定義する。
「避けることのできない驚異的な状況や社会的に不利な状況、がん罹患に関連した苦痛を伴う体験という状況下で現れ、自己や外的環境に対する肯定感や他者とのつながりや内的な強さによって促進され、内的資源および外的資源と相互に影響しあう動的な心理特性によって逆境に対処し、身体的・心理的・社会的機能の維持とありのままの自己と現実を受け入れ、前向きな展望をもち、生きる意味を見出すことで成長と適応に導かれる過程」

■ 治療を経験した乳がん患者のレジリエンスを促進させる要因(高取,2013)

(1)乳がんとその治療に関する情報を確定診断の前後および治療の前に得ること、
(2)自分の性格や価値観、および自分のまわりの人を含めた外部環境を肯定的にとらえること、
(3)乳がんという疾患を楽観的にとらえること、
(4)家族や医療者を含む身近な他者と相互に影響しあうかかわり

氏名
梶原 右揮
職位
助教
所属
看護学分野 臨床応用看護学領域
専門分野
慢性腎臓病(CKD),自己管理,病気認知(Illness Perception)

CKD患者の病気認知と自己管理行動の関係性の検討

研究の概要

 本研究は、慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease)患者において、疾患の重症化を予防するために取り組む自己管理行動を促進する因子の検討を行っている。行動を規定する因子として、病気認知(Illness Perception)に着目し、病気認知が、どの程度自己管理行動と関係性を有するか統計学的に検証するものである。

注意事項

 慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease)は腎臓が機能低下した状態であり、進行し、重症化すると血液透析などの腎代替療法に至る。腎代替療法は患者に経済・心理的な負担を与えるだけでなく、わが国の医療経済にも影響を及ぼしている。わが国の新規透析導入患者は年間約40000人であり、人口100万人あたりの新規透析導入患者数は世界第2位である。また、厚生労働省が行う腎対策検討会議においては、年間の新規透析患者数を36000人に減らすことが示されており、CKD進行を抑制することはわが国において喫緊の課題となっている。CKD進行を抑制するためには、食事管理、服薬遵守、禁煙などの患者が日常生活で取り組む自己管理行動がガイドラインにおいて推奨されている。しかし、CKDは自覚症状が乏しく、疾患の進行を認識することが困難といった特徴があり、自己管理行動の継続が難しい。質的研究においては、CKD患者は病気を楽観的に捉える者、先行きを案ずる者など、患者により異なった認識をし、自己管理行動に関係することが報告されている。

 病気認知(Illness Perception)は、疾患をどのように捉えるかにより、その後の行動が規定されることを示した概念である。病気認知は7領域から患者の病気の捉えを数量的に評価することが可能であり、海外においては、心臓病、糖尿病患者等において、疾患特異的な認識があることが報告されており、自己管理行動との関係性が報告されている。CKD患者においても、病気認知は自己管理行動と関係する因子であることが示唆される。

 これまでCKD進行抑制に対しては、自己管理行動に対する教育支援がなされてきた。しかしながら、新規透析患者は増加傾向にあり、CKD進行抑制が求められる状況を鑑みると、現在取り組まれている自己管理行動への支援が十分とは言えない。既存の支援を強化、あるいは新たな支援方法を立案し、自己管理行動を促進する試みが必要と考える。本研究では、CKD患者の病気認知の特徴を明らかにし、病気認知と自己管理行動との関係性を統計学的に分析を行う。本研究で得られた結果より、CKD患者への効果的な支援方法を検討し、今後の介入研究への活用を目指している。

氏名
谷垣 靜子
職位
教授
所属
看護学分野コミュニティヘルス看護学領域
専門分野
在宅看護学分野難病看護学分野

在宅看護におけるケアの質評価

在宅看護は居宅で行われる看護活動のみを指しているわけではありません。在宅看護は、「生きる」を支援する看護です。すべての人々が病いや障がいがあろうとも、幸せに生きていけるように支援しているのが在宅看護です。
 2025年問題と言われる課題に向けて、今、在宅ケアへの熱いまなざしが注がれています。在宅看護を推進するには、在宅看護を担っている訪問看護師の活躍が必須です。そのためにも、在宅看護活動のエビデンスを蓄積し、普及啓発を進めたいと考えています。
 現在は、訪問看護のケアの質評価に注目をしています。いくつかのケアの質指標が公表されていますが、成果までは明らかとなっていません。また、エンドオブライフケアの意思決定支援について、多職種連携のためのインテグレートな連携構築のためのツール開発に関する研究等を行っています。
 在宅看護に興味のある方は、研究室を訪問してください!

氏名
芳我 ちより
職位
准教授
所属
看護学分野コミュニティヘルス看護学領域
専門分野
公衆衛生看護学,地域看護学,小児・親子保健

生活習慣病予防のための新たな成長曲線開発

研究の概要


 現在、日本の健康政策は、2008年よりメタボリックシンドローム(MS)に着目した生活習慣の改善を成人期中心に推進しているところですが、残念ながらその効果は限定的で医療費は高騰の一途を辿っています。近年,胎児期および小児期の栄養状態が成人期の生活習慣病の発生と関連するという興味深い論文が相次いで報告されている。しかし,いつ,どのような栄養状態がそれと関連するのかを明らかにしたものは少数です。
 そこで、現在、生活習慣病と関連の深いメタボリックシンドローム(肥満)に着目し,小児期の体格との関連を明らかにすることで将来の生活習慣病発症を予測できる新たな成長曲線を開発することを目的とした研究に取り組んでいます。

 左の図1はいずれも、幼少期の体格(Body Mass Index ;BMI)がその後の体格に移行していることを示しています。つまり、学童期の子どもは、幼児期の体格をおおむね維持しており、肥満や痩せの子どもは3歳のころからその体格がつくられています。
 よって、肥満や痩せを予防するには学童期に入る前、幼児期がその好機であることを示唆しています。
 ただし、今後、体格を予測する精度を向上させ、将来の体格を推定するためのデータ、つまり成人期の体格までをつなげたデータの入手と、その関連の検証が課題です。


 精度を高めるため、これまでのデータをAIを用いて分析したものが右のグラフです。男女混合で分析されていますが、概ね、これまでに得られたBMIの推移と同様の傾向を示しました。ただし、グループ数を検討したところ、一峰性の図形が示したのは、その数が一つとみなせることでした。
 それゆえ、今後データの精度を上げるべく、多くの子どもたちのデータを収集していく必要があります。膨大なデータを解析できるよう本研究は情報工学領域においてニューラルネットワークを用いたディープラーニングに精通している研究者と共同研究しています。


さらに詳しく⇒ http://www.okayama-u.ac.jp/user/childhealth/

氏名
沖中 由美
職位
准教授
所属
看護学分野コミュニティヘルス看護学領域
専門分野
老年看護学,在宅看護学

「老いを生きる」高齢者の健康と生活を支えるケア

研究の概要

もし,高齢者からこのような言葉を聞いたら,
あなたはどう思いますか?何をしますか?

主な研究テーマ

  1. 1.認知症とともに老いを生きる高齢者の「望む生き方・暮らし方」を支える家族とケア提供者による支援について
  2. 2.在宅介護において,高齢者夫婦がともに「生きる希望」をもつことに関連する要因:妻が夫を介護している夫婦と夫が妻を介護している夫婦の視座から
  3. 3.ひとり暮らしの虚弱高齢者の希望とその関連要因
  4. 4.在宅で配偶者を介護し介護される高齢者夫婦は,どのようにかかわり合いながら老いを生きているのか?
  5. 5.ひとりで暮らす要支援・要介護高齢者は,どのように老いを生きているのか?
  6. 6.要介護状態にある独居高齢者の抑うつ状態と,現在および過去の老いの意識との関連
  7. 7.要介護高齢者は,身体障がいをもつことや老いることについてどのような自己意識をいだいているのか?
氏名
岡本 亜紀
職位
講師
所属
看護学分野コミュニティヘルス看護学領域
専門分野
精神看護学

精神の障害からのリカバリー

研究の概要

1.精神障害をもつ人への地域医療・福祉のチームアプローチに関する家族ケア研究

 障害のあるなしにかかわらず、誰もが自分が望む場所で、自分らしい人生を送りたいと望んでいます。しかし、精神障害をもつ人(本人)の家族は、ときに本人の地域生活に協力することが難しく、本人が退院を希望しても受け入れられないことが少なくありません。
 Assertive Community Treatment:ACT(包括型地域生活支援プログラム)では、医師・看護師・保健師・作業療法士・精神保健福祉士・臨床心理士などの多職種によるチームアプローチで生活と医療の両方を支援しています。このチームアプローチにより、家族は、本人が地域生活を続けられるように、どのように気持ちを変化させて協力していくのか。
 ACTを利用する家族へのインタビューでの語りをもとに、質的記述的手法を用いて分析しました。


2.精神疾患患者のパートナーシップ形成に基づく「リカバリー」モデルの構築

 精神の病気は、患者が他者とパートナーシップを形成することで回復(リカバリー)に向かっていくとされ、回復期のみではなく治療の早期から他者との関係形成に着目することが重要です。
 病院という制限された治療環境の中で、精神疾患をもつ患者さんがどのように重要他者との関係性を築き、どのように回復していくか、その回復過程について、明らかにしたいと思っています。その目的は、温かい人間関係の中で人権に配慮された環境、また、病気の再発・再燃を予防する環境を整えること、精神科病院の脱施設化(強制入院ではなく、出来る限り家で生活し、治療も受けられる地域医療)、患者さんのリカバリーです。
 研究方法は、インタビューでの語りの質的分析と、リカバリーという概念を数値化して測定し、統計学的にも検証しようとしています。


氏名
生田 由加利
職位
助教
所属
看護学分野コミュニティヘルス看護学領域
専門分野
老年看護学高齢者の運動とその効果家族介護者介護と仕事の両立

要介護高齢者と家族介護者への支援

研究の概要

 超高齢社会の我が国において,100歳以上の高齢者は2018年には6万9,785人に上り,政府は「人生100年時代構想会議」を設置した.認知症高齢者も増え続け,2025年には700万人を超えるとされている(厚労省).現役世代による「高齢の親の介護」は切実な問題であると同時に,年を重ねていく先の自身の姿でもある.人生を最期まで豊かに生きるためには,人生の若年期から,身体的・心理的・社会経済的なさまざまな準備や取り組みが必要であり,健康,生活や介護と仕事の調整,健康寿命の延伸,介護保険制度の理解,介護のための資金準備や住居などの環境調整など多くの課題が山積している.これらのことから,「高齢者介護」に焦点を当て,高齢者や家族介護者を対象に課題の解決にむかって取り組んでいる.

[研究プロセス]

氏名
新井 友子
職位
助教
所属
看護学分野コミュニティヘルス看護学領域
専門分野
精神看護学

気分障害がある人を対象とした支援の検討

【目的】

「援助要請」とは心理的問題をもつ人が他者に援助を求める行動である。心理的問題の中でも抑うつ症状がある人は援助を要請しない傾向があり,適切な支援に繋がらないことが指摘されている。そこで,本研究は日本における抑うつ症状がある人の援助要請に関する先行研究の文献レビューを行い,研究動向と今後の課題を明らかにすることを目的とする。


【方法】

医学中央雑誌web版(ver.5)とCiNii,Jdream-Ⅲを用いて「うつ」「援助要請」「depressive 」「help-seeking」をkey wordとして文献を検索し,16件を分析対象とした。分析は研究の記載内容を要約し内容の類似性に基づいて分類した。

【結果②】

 今後の課題では,「援助要請の関連要因の追求」「介入の検討・効果」「援助要請プロセスの検討」「周囲の人の影響」に集約された。

【結果①】

13文献は援助要請の関連要因を検討しており,促進要因として「精神的苦痛」「パーソナリティ」「ネットワーク」が,抑制要因として「精神的苦痛」が報告されていた。

【考察】

抑うつ症状のある人が他者に援助を求めるという行動には促進要因と抑制要因があり,これらを明らかにすることを目的にこれまで数多くの関連要因に関する研究がなされている。一方で研究結果が一致していないことからも複雑な要因が影響しあっていることが考えられる。援助要請に関連する要因を追究するとともに援助要請を一連のプロセスと考え,そのプロセスの流れに沿った関連要因を検討する必要がある。
 また,抑うつ症状のある人が症状をはじめとする自身の問題を認識し,他者に援助を求めようと考え行動に移すことには限界があると考えられる。抑うつ症状のある人に対してその周囲にいる人が早期に適切な介入ができるように支援する必要がある。


氏名
細井 舞子
職位
助教
所属
看護学分野 コミュニティ看護学領域
専門分野
公衆衛生看護学,地域看護学

梅毒患者のパートナーへの感染告知および受診の支援

研究の概要

 本研究の目的は、近年報告数が急増し、妊婦の感染による先天梅毒の発生が課題となっている梅毒に着目し、感染予防対策として梅毒患者のパートナーへの感染告知及び受診を支援する日本版手引きを作成することである。諸外国では、性感染症対策としてのパートナーへの感染告知支援は標準化・制度化が進み、早期発見・治療につながる効果をあげている。ところが、我が国ではこのような支援制度は整備されておらず、パートナーの感染を契機に検査を受けた割合はわずか10%未満である。我が国においてパートナーへの感染告知が進まない理由を早急に解明し、日本の実情に応じたパートナー感染予防対策の具体化が必要である。本研究で作成するパートナーへの感染告知を促進するための日本版支援手引きは、梅毒への新たな対策として効果的介入方法を医療および公衆衛生担当部門に提供できる。

これまでの研究活動

◆性感染症の発生動向および自治体における対応の分析および課題の解明

 平成27年度より厚生労働科学研究費補助金(新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業)性感染症に関する特定感染症予防指針に基づく対策の推進に関する研究(研究代表者・荒川創一)において、性感染症サーベイランスの改善に関する研究(分担研究者・中瀨克己)の研究協力者として①梅毒発生動向②性感染症アウトブレイクや性感染症陽性者のパートナーへの対応について分析を行い、課題を明らかにし政策提案した。

業績1:細井舞子,安井典子,青木理恵,森宏美,伯井紀隆,坂本徳裕,奥町彰礼,廣川秀徹,半羽宏之,松本健二: 大阪市における梅毒の発生状況(2006~2015年),日本性感染症学会誌,2016,27(2).266

業績2:細井舞子,半羽宏之,中瀬克己:大阪市における梅毒の発生状況(2007~2016年),日本性感染症学会誌,2017,28(1).111-117

業績3:細井舞子,中瀬克己:自治体が実施する性感染症/HIV感染症検査において感染が判明した者のパートナーに対する介入の変化と課題,日本性感染症学会誌,2017,28(2).230

業績4:細井舞子,中瀬克己: 都道府県および指定都市における性行為による感染症のアウトブレイクの把握と対応,日本公衆衛生学会誌,2018,65(10).485

◆HIV感染症/エイズ対策にかかる現状の分析および課題の抽出による政策提案

 HIV感染症は性感染症と関連が深いが、我が国における新規HIV 感染者および エイズ患者報告数は横ばいのまま推移しており、HIVの早期発見に向けた対策が求められている。そこで①普及啓発②HIV検査③HIV陽性者支援について現状分析や介入評価を行い政策提案した。

業績5:細井舞子,安井典子,松本珠実,奥町彰礼,廣川秀徹,半羽宏之:大学生を対象としたHIV/エイズに関する知識調査,日本エイズ学会誌,2014,16(4).547

業績6:細井舞子,安井典子,青木理恵,安保貴行,松村直樹,奥町彰礼,廣川秀徹,半羽宏之,松本健二:青少年向けエイズ啓発冊子「エイズのはなし」の評価,日本エイズ学会誌,2015,17(4).479

業績7:細井舞子,安井典子,青木理恵,安保貴行,松村直樹,奥町彰礼,廣川秀徹,半羽宏之,松本健二,後藤大輔,宮田りりぃ,町登志雄,塩野徳史:ゲイ・バイセクシャル男性におけるHIV検査受検経験及び関連する要因,日本エイズ学会誌,2015,17(4).472

業績8:後藤大輔,塩野徳史,町登志雄,宮田りりぃ,伴仲昭彦,鬼塚哲郎,安井典子,細井舞子,半羽宏之:コミュニティセンターdistaにおけるHIV検査の意義,日本エイズ学会誌,2015,17(4).473

業績9:松本健二,奥町彰礼,小向潤,津田侑子,藤和美,水直子,細井舞子,安井典子,青木理恵,廣川秀徹:大阪市におけるHIV合併結核の現状と患者管理に関する検討,日本エイズ学会,2015,17(4).409

業績10:安井典子,細井舞子,松本珠実,奥町彰礼,廣川秀徹,半羽宏之:企業における管理職のHIV/エイズに関する理解の現状について,日本エイズ学会誌,2014,16(4).548

業績11:細井舞子,安井典子,松本珠実,奥町彰礼,廣川秀徹,半羽宏之:障がい者福祉施設職員におけるHIV感染者の自施設利用に関する意向および関連する要因,日本エイズ学会誌,2016,18(1).72-78

氏名
兵藤 好美
職位
教授
所属
看護学専攻(ヘルスシステム統合科学研究科)
専門分野
基礎看護学,医療安全,社会心理学

「医療安全のためのゲーミングシミュレーション」の開発

研究の概要

医療を安全に行うためには、卒後の現場教育だけでなく、卒前からの安全教育が不可欠である。的確な技能を伝える教育に加えて、ヒューマンエラーの予防や対策を教育することで、医療安全の現実味が高まる。多くの新人が漠然とした医療事故の不安と共に職に就き、実際にヒヤリハットや事故に遭遇する中で、医療現場でのリスクや背景要因を考えさせる過程教育は、急務であろう。
 我々は、医療現場におけるヒューマンエラーを巡るゲーミングシミュレーション(gaming simulation)を提案している。ゲーミングシミュレーション(以降ゲームと略す)は、「ゲーム的側面をもったシュミレーション活動」(新井,1998)と定義される。社会心理学者による防災領域での実施では、「通常の対話以上の多重な話が展開」し、「共通の目標に向かって各種に対話が生まれ、共通の問題に対する異なる視点の交換があちこちで発生する」(Duke,1974)ことに注目し、コミュニケーション・リスクの模擬体験の場として活用された例がある。
 我々は、医療事故に至る要因や対応策を模擬的に体感させる狙いでこれを用いた。ゲームの形で医療安全を学ぶ利点は、緊張や認知的拒否感を生じにくく、現実味があり、認知・行動・情緒に及ぶインパクトを持つことである。心理教育の枠組みを用いたこの学習では、エラー発生を体験させた上で、背景にある人間の性質や環境要因、出来事の連鎖性などを解説し、医療事故予防へと総括していく。現場が未経験の看護学生には、医療安全教育に限界を感じるとの声もある中で、実感を伴う学びとして注目される。医療安全における新たな教育手法として、2009年度の医療の質・安全学会のシンポジウムでも紹介され、多くの反響を得てきた(http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/pdf/2860.pdf)。
 またゲーム実施が、医療安全の意識にどのような影響を及ぼすかについて効果測定を行うと共に、医療安全教育への実用・汎用化を目指した取り組みを行ってきた。その結果、ゲーム実施による「医療安全の意識」変容が明らかになり、ゲーム後ポジティブな感想が見られたことから,看護学生に対するゲームの有用性が示唆された。その後の分析から、ゲーム実施が医療事故防止対策への動機づけ、エラー防止の知識獲得、エラーを起こす可能性への喚起の総てに繋がることが明らかになってきている。
 現在は、失敗や上手く行かなかったことだけでなく、成功や上手く行ったことに着目するゲームを開発中である。

【本研究に関して受けた科学研究費補助金の助成】

基盤研究(C)「基礎看護教育における統合的視点から見た医療事故生成プロセス防御モデル」H17-19.(代表:兵藤好美)を受けた。
その後、挑戦的法萌芽研究「医療事故生成プロセス防御モデルに基づく医療安全のための心理教育法の開発」H21-23,「プロセスモデルに基づく医療安全教育のためのゲーミングシミュレーション法の開発」H24-26.による研究補助(代表)を受けた。現在は、「ゲーミングシミュレーションを用いた医療事故生成プロセス制御モデルの構築」R1-3.(基盤B:代表)受けて、研究中。