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検査技術科学分野

氏名
荒尾 雄二郎
職位
教授
所属
検査技術科学分野 病態情報科学領域
専門分野
ウイルス学,分子生物学,遺伝学

睡眠時間短縮やストレスによる、健常人唾液中の ヒトヘルペスウイルス6型DNA検出率の増加

感染症の発症やその重症度を決める未知の要因を探索するために、

健常人唾液からのヒトヘルペスウイルス6型DNA検出率と日常の出来事との関連性を調査した。その結果、前日の睡眠時間が短かった日や各種ストレスを受けた日のヒトヘルペスウイルス6型DNA検出率が増えていることがわかった。

氏名
横田 憲治
職位
教授
所属
病態情報科学分野 細菌・免疫学領域
専門分野
細菌学,感染免疫学

ピロリ菌感染と胃癌発症

研究の概要

胃癌(intestinal type)は日本人に多いがんであり、その原因はHelicobacter pylori(ピロリ菌)の高い感染率に由来している。ピロリ菌感染は、その他にも胃炎や胃粘膜委縮を起こし、消化性潰瘍、MALTリンパ腫の原因になる。胃癌以外の疾患は除菌により治癒するものがあるが、胃癌は除菌のみでは治癒できない。高齢者は感染率が高く、除菌している人も多いが、除菌後でも胃癌を発症する人はいる。この除菌後の胃癌発症は、長期のピロリ菌感染による胃粘膜萎縮が治らないためと考えられる。
 私は30年以上ピロリ菌の研究を行っており、日本のピロリ菌研究の草分けである。早期にピロリ菌の臨床分離から大量培養を確立し、血清診断の系を確立した(感染症学雑誌64; 597-603, 1990)。多くの研究者に大量培養の方法、培養法を指導した。大量培養した菌を用いて動物実験を行い世界で初めてげっ歯類(スナネズミ)の感染モデルを報告し(Microbiol. Immunol. 35:1991)、ピロリ菌の研究の発展に寄与した。

ピロリ菌の熱ショックタンパク(HSP60)がヒートショック反応の主要な蛋白であり、患者免疫反応も起こすことを報告した(Microbiol.Immunol.31:1994)。
MALTリンパ腫とピロリ菌感染の研究を行い、MALTリンパ腫の発症はHSP60を介した自己免疫反応を起こし(Gut.45:1999)、B細胞の増殖が起こることを報告した(J Clin Pathol. 51:1998)。またMALTリンパ腫患者のリンパ球を免疫不全マウスに移植し潰瘍性病変の再現に成功し(Gastroenterology117:893-9,1999)、免疫反応が病態に与える影響が大きいことを報告した。

最近は、ピロリ菌感染患者の血清診断用抗原の開発を試薬メーカーと行い、患者抗体測定に有用な抗原を見いだした。この測定抗原につては、日本経済新聞紙や多くの地方紙に紹介された。

 感染免疫反応は、細胞性免疫(Th1)と液性免疫(Th2)のバランスで成り立っている。ピロリ菌感染者は、100%胃炎を起こすが、ほとんどのヒトは、Th1優位の反応が起こる。しかし、胃癌患者はこのバランスが崩れていると考え、胃癌発症のリスクの高い患者を見出すために、宿主の免疫反応を調べた。早期胃癌患者のH. pylori抗原(cagA; ABD, vacA; s1c/m1,cagE+, iceA1, and babA2;日本人から多く分離される遺伝子型)に対するTh1/Th2に関係したIgGサブクラスを測定すると、明らかに早期胃癌患者でIgG1(Th2)/IgG2(Th1)の比率が高く、IgG2の抗体価と胃粘膜萎縮には有意な相関が認められた(臨床病理(2015)63巻)。またさらに、早期胃癌で内視鏡手術を受けて経過観察中に5年以内に胃癌を発症した患者を調べると、IgG1(Th2)抗体が、再発しない患者に比べ優位に高かった。このTh1を抑制するサイトカインであるIL10のプロモーター領域のIL10産生に影響する3か所のSNP(A1082G、C819T、 A592C)を調べると、1082と592が胃癌再発に関係していることが判明した(Infect Agent Cancer. (2019) 11)

氏名
佐藤 康晴
職位
教授
所属
検査技術科学分野 病態情報科学領域
専門分野
病理学

新規疾患単位の確立ならびに病態解明への病理学的アプローチ

研究の概要

 最新の病理形態学的研究手法や分子生物学的研究手法をもちいて、新規疾患単位の確立や病態解明に関する研究を行っています。 我々の研究室では、とくに血液疾患や膠原病などの病理学的解析を得意としています。 これまでの成果として、IgG4関連疾患のリンパ節病変(PTGC型)や皮膚病変を新規疾患単位として確立し、また、IgG4関連疾患の病態形成にマスト細胞が深く関わっていることも世界に先駆けて明らかにしました。TAFRO症候群では、特徴的な病理形態像ならびに臨床像も明らかにしました。これらの研究成果は、海外のトップジャーナルに掲載されています。また、ハーバード大学、コロンビア大学、ペンシルバニア大学とも国際共同研究を進めています。

 研究室に所属する学生には、研究に対する創造力や科学的思考能力、倫理観や協調性を兼ね備えた医療人の育成も視野に入れた教育を行います。また、大学院生の希望者には、コースでの遺伝子分析科学認定士や細胞検査士の資格取得のサポートも行います。

研究テーマおよびその成果

  1. 1.IgG4関連疾患の病因・病態および発がんに関する研究
    【成 果】 Modern Pathology 2009, 2012, 2013, 2014. Arthritis Rheum. 2012. Sci Rep. 2018, 2019. など
  2. 2. キャッスルマン病の診断基準確立と病態解明
    【成 果】 American Journal of Hematology 2016, Blood 2018 など
  3. 3. メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患の病態解明
    【成 果】 Cancer Science 2017. J Clin Exp Hematopathol. 2019
  4. 4. リンパ腫の臨床病理学的解析
    【成 果】 Nature 2009. Modern Pathology 2009, 2013. Am J Surg Pathol 2015, 2016. Leukemia 2019. など
  5. 5. 頭頸部腫瘍の臨床病理学的および分子生物学的解析
    【成 果】 Acta Oto-Laryngologica 2017, 2018, 2019. Head & Neck 2014, 2016.
          Cancer Immunol Immunother 2016 など
* 研究室の詳細についてはホームページをご覧ください。
氏名
石川 哲也
職位
准教授
所属
検査技術科学分野 病態情報科学領域
専門分野
分子生物学,細胞生物学

研究課題:呼気を用いたがん検査法の確立に向けて

研究の概要

目的

 我が国のがんによる死亡者数は年間37万人にもおよび,がんは死亡原因の第一位である。この死亡者を減らすためには,早期発見,早期治療が必要となる。私は検査の面からがんの撲滅を目指す。
 がんの検査については,がん特有のタンパク質を検査するもの,PET-CTなどがある(その他,DNA,RNAを用いた検査法も開発中である)。しかし,低予算で侵襲性がなく,手軽に受診できるような検査はまだない。そのような検査に呼気検査があるが,がん特有の成分が明らかになっていないため実現していない。そこで,そのような成分を明らかにすることを目的とした。

背景

以前からがん患者には特有のニオイがあるといわれてきた。しかし,その成分は明らかになっていない。一方,1989年にはメラノーマを犬が検出したと考えられる例が報告されている。2000年代に入り,がん探知犬の存在が知られるようになった。がん患者の呼気を嗅がせて,がん患者の呼気を探すことができる犬のことである。これにより,がん患者の呼気にはがん特有のにおい成分が含まれていると予想される。そのような成分は揮発性有機化合物と呼ばれており,がん患者の呼気成分を世界中の研究機関が解析している。しかし今のところ,がんに共通なにおい成分が見つかったという報告はない。

結果

以上のような状況の中,私はある成分に注目した。まず,その成分を産生する酵素が,人のがん組織で上昇しているか調べ,ほとんどのがんで上昇していることが分かった(その一部を図1に示す)。そこで,がん細胞を導入したマウスを作製してその呼気を採取し,特定成分を測定した。その結果,導入してないマウスの呼気より,導入したマウスの呼気の方が高いことがわかった(図2)。したがって,この成分ががん患者の呼気中に含まれるのではないかと考えている。

氏名
祇園 由佳
職位
助教
所属
検査技術科学分野 病態情報科学領域
専門分野
病理学

新規疾患単位の確立ならびに病態解明への病理学的アプローチ

研究の概要

 最新の病理形態学的研究手法や分子生物学的研究手法をもちいて、新規疾患単位の確立や病態解明に関する研究を行っています。 我々の研究室では、とくに血液疾患や膠原病などの病理学的解析を得意としています。 これまでの成果として、IgG4関連疾患のリンパ節病変(PTGC型)や皮膚病変を新規疾患単位として確立し、また、IgG4関連疾患の病態形成にマスト細胞が深く関わっていることも世界に先駆けて明らかにしました。TAFRO症候群では、特徴的な病理形態像ならびに臨床像も明らかにしました。これらの研究成果は、海外のトップジャーナルに掲載されています。また、ハーバード大学、コロンビア大学、ペンシルバニア大学とも国際共同研究を進めています。

 研究室に所属する学生には、研究に対する創造力や科学的思考能力、倫理観や協調性を兼ね備えた医療人の育成も視野に入れた教育を行います。また、大学院生の希望者(臨床検査技師有資格者)には「細胞検査士コース」での資格取得のサポートも行います。

研究テーマおよびその成果

  1. 1.IgG4関連疾患の病因・病態および発がんに関する研究
    【成 果】 Modern Pathology 2009, 2012, 2013, 2014. Arthritis Rheum. 2012. Sci Rep. 2018, 2019. など
  2. 2. キャッスルマン病の診断基準確立と病態解明
    【成 果】 American Journal of Hematology 2016, Blood 2018 など
  3. 3. メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患の病態解明
    【成 果】 Cancer Science 2017. J Clin Exp Hematopathol. 2019
  4. 4. リンパ腫の臨床病理学的解析
    【成 果】 Nature 2009. Modern Pathology 2009, 2013. Am J Surg Pathol 2015, 2016. Leukemia 2019. など
  5. 5. 頭頸部腫瘍の臨床病理学的および分子生物学的解析
    【成 果】 Acta Oto-Laryngologica 2017, 2018, 2019. Head & Neck 2014, 2016.
          Cancer Immunol Immunother 2016 など
* 研究室の詳細についてはホームページをご覧ください。
氏名
廣畑 聡
職位
教授
所属
検査技術科学分野 生体情報科学領域
専門分野
がん,心筋梗塞,変形性関節症,遺伝子治療,マイクロRNA

廣畑研究室で世界最先端の研究を体験してみませんか?

研究の概要

廣畑研究室では、細胞や疾患モデル動物を使った基礎研究から、最先端医療である医用工学手法を用いた実用化研究まで、本人の興味や能力に応じた様々なプロジェクトが進行中です。

がん心臓病の他にも関節症の研究など数多くのテーマがあり、動物が苦手な人でも大丈夫です。
研究する学生の希望に合わせたテーマを選択することが可能です。
下図に示す血管新生を標的にしたがんに対する遺伝子治療の研究などが進行中。

マイクロRNAの研究

右の山陽新聞記事でがんの早期発見につながる診断方法として紹介されたのが、マイクロRNAです。

マイクロRNAはエクソソームという小さな球状の袋の中に入って体の中に存在してます。

右下の写真は私たちが電子顕微鏡で撮影したエクソソームです。大きさは100nmよりも小さく、この中にマイクロRNAが含まれています。
私たちはマイクロRNAを関節症の早期診断法として応用できないか現在研究を進めています。

廣畑研究室では、全国学会や海外の学会で大学院生が発表したり勉強する機会も多く研究室に外国人がいることも日常的です。
皆さんも研究で世界と勝負してみませんか!


さらに詳しく⇒ https://okadaihirohatalab.jimdofree.com/

氏名
宮原 信明
職位
教授
所属
検査技術科学分野 生体情報科学領域
専門分野
呼吸器、アレルギー、免疫

呼吸器・アレルギー疾患の病態解析と新規治療法の開発

研究の概要

<基礎研究> 慢性気道炎症性疾患(喘息,COPD),肺線維症の研究

私たちは,動物モデル(マウスモデル)などを用いて,疾患の病態解明,新たな治療法開発に取り組
んでいます

1.喘息モデル

 抗原に感作,曝露させることによりアレルギー性気道炎症が発現し,気道過敏性が亢進し、ヒトの喘息と同じような気道反応を惹起することが出来ます。
 マウスに気道過敏性の亢進とTh2優位の気道炎症が誘導され,BALF(気管支肺胞洗浄液)中のIL-4,IL-5,IL-13などTh2サイトカインの上昇が認められるとともに,肺組織では気道壁の肥厚,炎症細胞浸潤,気道上皮のPAS陽性杯細胞の増加が観察されます。
 私たちは,これまでにエフェクターCD8T細胞,ロイコトリエンB4(LTB4),終末糖化産物受容体( receptor of advanced glycation end product: RAGE)などが気道炎症,気道過敏性に重要な役割を果たしていることを報告してきました。さらに、神経伝達物質であるニューロペプタイドYのアレルギー性気道反応での役割を解析しています。
主な研究室業績: J Immunol. 2004,172:2549-58,Nature Med. 2004,10:865-9,Am J Respir Cell Mol Biol. 2009,40:672-82,Am J Respir Cell Mol Biol 2011,45:851-857.,Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 2015,309: L789-800. Respir Res. 2017;18:23. Allergol Int. 2018;67:521, Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol. 2019;316:L407

2.COPD(慢性閉塞性肺疾患)モデル
・エラスターゼモデル

 マウスなどにエラスターゼを経気管的に投与することにより作製します。
1回のPPE投与後3週間で強い気腫化が誘導されます。私たちは主にこのモデルを用いることにより,これまでにIL-17やIL-23,終末糖化産物受容体(RAGE)がCOPDにおける気道炎症や気腫化の機序に重要な役割を果たしていることや抗体治療として臨床応用の可能性を報告しています。

・タバコ抽出液投与による肺気腫モデル

 信州大学医学部との共同研究により、タバコを用いた新たな肺気腫モデルの作成に取り組んでいます。このモデルを用いて、肺気腫の発症、進展のメカニズムの解析、特にTh17細胞の関与やIL-23の働きについて解析をすすめています。

主な研究室業績: Respir Res 2013,20;14:5.,Am J Respir Cell Mol Biol 2015,52:482-91.,Am J Respir Cell Mol Biol. 2016,55(5):697-707. Respir Res. 2019;20(1):2

3.肺線維症モデル

 ブレオマイシン誘導肺線維症における好中球性炎症制御による線維化抑制効果の検討

<臨床研究>
  • ・肺野孤立性結節影を呈するMAC(mycobacterium avium complex)症についての研究
  • ・重症喘息のフェノタイプ,バイオマーカーに関する研究 など

主な研究室業績: Int J COPD. 2017;12:1119-1124, Respir Investig. 2017;55(4):264-269. Respir Investig 2019;57(4):321-324, Respir Investig.in press

氏名
柴倉 美砂子
職位
准教授
所属
検査技術科学分野 生体情報科学領域
専門分野
血液検査学、補完代替医療学、臨床免疫学

アロマセラピーを用いた統合医療

研究の概要

 統合医療とは、現代西洋医学のみならず、東洋医学や補完代替医療を取り入れて、個々の患者に適した治療やケアを行う医療です。私たちの研究室では、呼吸器疾患の治療にアロマセラピーを取り入れた統合医療の確立を目指して以下のような研究をしています。


アロマセラピーを用いた新規COPD治療法の提案:

私たちの研究室では、これまでマウス喘息モデルやマウス慢性閉塞性肺疾患(COPD)モデルを用いて、アロマセラピーに用いられる精油が抗炎症作用を持つ事を明らかにしています(科学研究費:2011年 若手研究(B)「アロマセラピーによるヘルスプロモーション:精油の抗アレルギー作用機序解明」, 2014年 挑戦的萌芽研究「アロマセラピーを用いたCOPD治療の新たな選択肢の提案」)。精油は抗炎症作用以外にも、副交感神経に働きかけリラックス効果を発揮することが多くの科学論文によって証明されています。そこで、私たちはこの精油のもつ多面的作用をCOPD治療に応用できないかと考えました。COPD患者は息苦しさによる不安を常に抱えているため、息苦しさを軽減し肺機能や健康状態を改善するような手段が必要です。精油を使った芳香浴をCOPD治療のひとつである呼吸リハビリテーションに取り入れることができれば、息苦しさからくる不安や抑うつの軽減が期待できるだけでなく、吸入した精油が抗炎症作用を示し、より効果的に作用する可能性があるのではないかと考えており、現在はヒト細胞を用いてCOPD治療薬や栄養素との相乗作用をもたらす精油の同定に取り組んでいます(科学研究費:2019年 基盤研究(C)「COPD治療に最適なアロマセラピーを用いた呼吸リハビリテーションの構築」)。

Ueno-Iio T, Shibakura M, et al., Life Sci. 2014, 108(2):109-115.
Aoe M, Ueno-Iio T, Shibakura M, et al., . Acta Med Okayama. 2017, 71(6):493-503.

氏名
渡辺 彰吾
職位
准教授
所属
検査技術科学分野 生体情報科学領域
専門分野
動脈硬化、循環器、病態検査学

動脈硬化のメカニズム解明と早期発見を目指して

研究の概要

テーマ① 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と動脈硬化・虚血性心疾患の関連

 近年、メタボリックシンドロームに罹患している患者が急増しており、動脈硬化や虚血性心疾患を発症するリスクが高くなっています。動脈硬化や虚血性心疾患を発症してから治療するのではなく、その原因となるメタボリックシンドロームを健康なうちから改善することが重要視されています(先制医療)。渡辺研究室では、メタボリックシンドロームの一つの症状である非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を発症する特殊な疾患モデルラットを使用し、NASHの病態背景が動脈硬化や心臓機能にどのような悪影響を及ぼすか、またNASHの早期改善が動脈硬化・心臓機能に保護的に働くか否かについて研究を行なっています。

テーマ② 新しい血管内皮機能 (FMD)検査に関する研究

 2012年4月に新しく血管内皮機能 (FMD)検査の保険適用が認められ、各病院の検査室でも導入が進んでいます。FMD検査はこれまで困難であった初期段階の動脈硬化を発見できると期待されていますが、歴史が浅い検査であるため、基礎的な臨床データの蓄積がまだまだ必要です。本検査は、血管に対する物理的な刺激で生じる血管拡張物質 (一酸化窒素:NO)を標的とするため、自律神経系の影響を受けないとされていますが、生理学的に血管の収縮・拡張は自律神経系によって調節されていることから、実験による詳細な検討が必要です。

氏名
篠畑 綾子
職位
助教
所属
検査技術科学分野 生体情報科学領域
専門分野
臨床化学

血中リポ蛋白質に関する研究

研究の概要

血中にはコレステロールやトリグリセリドなどの脂質が多く存在する。血中脂質の増加は血管を詰まらせる原因の一つと考えられており、動脈硬化などのリスク評価として脂質検査は重要である。
脂質は水に溶けないため、血中では蛋白質との複合体であるリポ蛋白質(lipoprotein)として運搬されている。リポ蛋白質には多くの種類があり(図)、それぞれのリポ蛋白質は異なる役割を担っている。
本研究室では、これらリポ蛋白質の新しい分析法の開発やリポ蛋白質の機能に関する研究を臨床サンプルおよび動物実験、細胞培養実験等により検討を行っている。

1) 新しいリポ蛋白分析技術の開発

高速液体クロマトグラフィー(HPLC)や電気泳動、ELISA法を用いて、新しいリポ蛋白分析法を検討している。最近では、イオン交換カラムとヘパリンアフィニティカラムを用いたHDL亜分画測定(特許第6579515号)や、ポリエチレングリコールと陽イオン交換カラムを用いたアポE含有リポ蛋白の分析系を確立した(Clin Chim Acta. 2017;465:112-118)。


2) リポ蛋白測定の臨床的意義

脂質の臨床検査では、HDL-コレステロールの低値が動脈硬化のリスク因子として重要であると考えられているが、HDLには様々な粒子があり個々のHDLは異なる機能を有していると考えられている。リポ蛋白の構成蛋白の一つであるアポEは、細胞からのコレステロール引き抜き能や抗酸化能が強いことが知られており、このアポEを含むHDLはアポEを含まないHDLとことなる性質があることが推測される。本研究室で開発したアポE含有HDL測定法で臨床検体を分析した結果、脂肪細胞が分泌するアディポネクチンとアポE含有HDLが正に相関することが示され、肥満とアポE含有HDLとの関連性について現在検討を行っている。

3) 動物実験、細胞培養実験

マウスから得られる血液サンプルは微量であるため、個々のマウスの血中リポ蛋白分析は極めて困難である。また、培養細胞上清に分泌されるリポ蛋白は濃度が低く、分析が困難である。
本研究室で開発したリポ蛋白分析技術は、このようなサンプルの定量分析にも応用可能である。現在、肥満モデルマウスの血清や、脂肪細胞、肝細胞の培養上清等のリポ蛋白分析により、生活習慣病におけるアポE含有HDL測定の意義を探っている。

氏名
飯尾 友愛
職位
助教
所属
検査科学技術分野 生体情報科学領域
専門分野
免疫検査学、補完代替医療学、臨床免疫学

精油(アロマテラピー)を用いた抗炎症効果の検証

研究の概要


 私たちの研究室は、補完代替医療を用いたヘルスプロモーションの推進について研究活動を行っています。アロマテラピーや健康食品などは、通常の医療(西洋医学)以外の療法、補完代替医療として分類されています。
私たちはその中でもアロマテラピーに注目をして研究を行っています。

 アロマテラピーの効果にはリラックスなどの精神的な作用とは別に、用いる精油による科学的効果があると推測されています。精油には約300もの種類があり、抗炎症作用や抗菌作用、鎮痛作用など多様な効果を持つとされます。

 現在、国民の2人に1人がアレルギー疾患を持つと言われるほど、気管支喘息(喘息)、アトピー性皮膚炎等のアレルギー疾患の罹患者数は増加してます。アレルギー疾患の根治療法はまだ十分に確立されておらず、長期にわたりコントロールしていかなければなりません。

 私たちのグループでは、マウス喘息モデルを用いて精油の抗炎症効果を検討してきました。
その研究成果としてラベンダー精油が好酸球の浸潤を抑制するなどの抗アレルギー作用をもつことを明らかにしてきました。また精油の種類により作用効果に違いがあることも分かりました。

 これまでの研究を発展させて、約300種類の中から抗炎症効果のある精油の同定、肺や皮膚など作用部位によって精油の効果は異なるのか、さらに喘息でおこる気道の線維化に効果のある精油はあるのかなどを検証しています。

 作用経路なども明らかにしていき、科学的根拠に基づいたアロマテラピーを提案していきます。
そして、日々の生活の中で患者自身が継続することが可能なアロマテラピーによるヘルスプロモーションを目指しています。


氏名
森田 瑞樹
職位
教授
所属
ヘルスシステム統合科学研究科 生体情報科学
専門分野
生体情報,医療情報,生体試料(臨床検体)

生体情報科学

研究の概要

私たちの研究室では,生体情報(生体センサーやウェアラブルデバイスで計測した情報)や医療情報(電子カルテなどから抽出した情報)を用いた研究を行っています。また,岡山大学病院バイオバンク(岡大バイオバンク)と連携してヒトの生体試料(血液,組織など)を用いた研究も行っています。これらの研究から,一歩進んだ医療の種を作り出すことを目指しています。

【研究キーワード】 医療情報,生体情報,生体信号処理,医療データ解析,バイオバンク

研究テーマ

(1) 生体情報の活用

生体情報とは,心電図などの検査で得られた情報やスマートウォッチなどの機器から得られた情報を指しています。スマートウォッチなどを用いて日常生活の中で得られる情報を医療や健康維持に役立てることを試みています。

(2) 医療情報の活用

医療情報とは,実際の診療で得られた情報のことを指し,たとえば電子カルテに記録されています。医療情報の活用は盛んに研究がされはじめたところであり,検査値や文章から有用な情報を抽出することを試みています。

(3) 生体試料に関連する研究

生体試料とは,血液や尿などのことを指しています。健康診断や病院の検査では採血や採尿をされますが,このように生体試料は私たちの健康状態を知るために重要な材料となります。生体試料を有効に利用できるよう研究を行なっています。

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